Hello & Welcome ! 皆さんこんにちは。
アメリカ、オレゴンの片田舎から、【心を育てるガーデナー】のさやリンです。
私はオレゴンにある薬草園で、庭園管理の仕事をしているのですが、冬の間は植物たちがお休みに入るのと合わせて、私の仕事もひと休みになります。土の中でじっと春を待つ命の気配を感じながら、私も少しスローペースな毎日を過ごしています。本格的な冬を迎えるこの季節、
「自然に触れてリフレッシュしたいけれど、冬の寒さの中ではなかなか森まで足を運べない……」
など、おっくうに感じている方も多いのではないでしょうか。でも、わざわざ遠くの森へ行かなくても、おうちの中にいながら「自然の癒やし」を取り入れることはできるんです。
今回は、植物たちがお休みになる時期に試して欲しい、「おうちで楽しむ森林浴」のアイデアをご紹介します。冬の長い夜にも五感を使って心身を整える方法をまとめました。
【重要】 この記事は、私個人の経験と参考文献からの知見に基づいた教育目的の情報提供です。医療行為、診断、または処方箋の代わりになるものではありません。ご自身の健康状態や治療に関しては、必ず専門の医師にご相談ください。

世界が注目!日本生まれの「森林浴(Shinrin-yoku)」とは?
「森林浴」という言葉。
実は1982年に日本の林野庁が提唱した、日本生まれの言葉だということをご存知でしょうか?
今やこの習慣は、「Shinrin-yoku」という名前で、アメリカやヨーロッパなど世界中で広く知られるようになりました。
事実、私の住む市立の公園が、西海岸で初のフォレストセラピートレイル(Forest Therapy Trail)として認定されるほど、その需要性は高まっています。海外では、医師がストレス対策として「森を散策すること」を処方する国もあるほど、その癒やし効果が科学的に信頼されています。

森の香りに隠された「癒やしの正体」
なぜ森の中にいるだけで、あんなにも心が落ち着くのでしょうか。
その秘密のひとつが、植物が発する「フィトンチッド」 (phytoncide) という芳香成分です。
フィトンチッドは、樹木が自分自身の身を守るために放出される殺菌性のある成分ですが、香り成分もあるそれを人間が浴びると、以下のような効果があると言われています。
自律神経を整えリラックスさせる
ストレスホルモンの分泌を抑える
免疫細胞を活性化させる
オレゴンの薬草園に訪れる人たちが、
“植物に囲まれているだけで深い呼吸をしたくなる”
と声をそろえて言われるのも、まさに植物たちが放つフィトンチット成分のおかげだったんですね。

でもその効果は、「森へ行かなければ受けられない」と思われがちですが、実はそのエッセンスを家の中に持ち込むことで、おうちでも似たようなリラックス状態を作り出すことができるのです。
【参考文献・サイト】
林野庁ウェブサイト「森林浴(森林セラピー)」
日本森林保健学会(森林医学)
Association of Nature and Forest Therapy (ANFT)
おうちでできる森林浴 5つの方法
では、森へ出かけなくても、おうちで出来る”自然の癒し”を取り入れる方法5つをご紹介します。
① 「香り」を取り入れる〜嗅覚で森を迎える〜
古くから、木の香りは人を落ち着かせ、私たちの生活の一部として、かかせない要素でした。
森の香りを嗅ぐことで、私たちの自律神経を整え、リラックスを促してくれると言われています。
エッセンシャルオイル(精油)を活用
本物の森の香りに近い、ヒノキ、スギ、パイン(松)、サイプレスなどの精油を選んで、
ディフューザーやアロマミストに入れる
マグカップやお鍋にお湯をいれて、1〜2滴精油を垂らす
入浴時にバスタブの中に精油を垂らす
などで、森の香りを楽しめます。

ナチュラルな入浴剤をお風呂に入れる
日本では、入浴剤の種類が沢山ありますが、アメリカではAURA CACIA やDr.Teal’s などのブランドをよく見ます。シダーウッドや、バルサムファーなどの精油入りのミネラル成分配合の入浴剤は、香りだけでなく、疲れた体も休めてくれるので、入浴時間が即席の森林浴になりますね。
*もっと自然に近いコスパな方法として、クリスマスツリーや松などの針葉樹の枝をちょっと切って、お湯で温めて、湯気の香りを吸いこんだり、スロークッカーを使えば、さらに簡単。あっという間に「森の空気」が広がります。

② 「音」で森を楽しむ~聴覚で自然の音を聞く
自然音には「1/fゆらぎ」という不規則なリズムが含まれていて、生体リズムと共鳴することで自律神経を整える効果があります。
自然音をバックグラウンドで流す
目を閉じて思い浮かべてください。
風に揺れる木々の音。
遠くで響く鳥の声。
静かな川の流れる音。
自然音は、脳波を安定させ、安心感を育てる働きがあるといわれています。
家事をしながら、仕事をしながらでもいいので、
ただそっと流すだけで、耳はちゃんと自然とつながってくれます。
YouTube やアプリで「小川のせせらぎ」「鳥のさえずり」「風に揺れる葉の音」など、自分が心地よいと思う自然音を選んで、バックグラウンドで流してみましょう。静かすぎる部屋よりも、自然の環境音である「外」を感じる事で、リラックス効果が高まります。
心を育てるガーデナーさやリンおすすめの自然音 (You Tube)
③ 「視覚」を使って緑を楽しむ
視界に占める緑の割合(緑視率)を上げると、ストレスが軽減されると言われています。また緑色は、目に優しい波長を持ち、目の筋肉がリラックスして眼精疲労が軽減されると言われます。
観葉植物を暮らしに迎える
部屋の中に緑がある。
それだけで空気の質が少し変わるように感じたことはありませんか?
植物を見るとき、人の呼吸は自然とゆっくりになるといわれています。
冬は外の花や木々が静かに休む季節。
だからこそ、室内の小さなグリーンが心の支えになってくれます。
育てやすい植物からで十分。
緑があるだけで、視界の中に「森の記憶」が生まれます。ポトス、スネークプランツやモンステラなどの鉢植え植物から、ドラゴンプランツやカシワゴムの木などの大きめサイズの観葉植物など、デスクやソファの近くなど、「ふとした時に必ず目に入る場所」へ置いたり、いくつかの植物をまとめておくと、部屋が「小さな森」に早変わり。また生きている植物なので、その空気清浄効果も期待されて、一石二鳥です。

外の自然風景を部屋から眺める
おうちに庭や、木々がある場合、部屋からお庭の緑を眺めるだけでも効果があります。「緑」という色自体が目に優しいことに加え、「遠くの景色を見る」という行為が、眼精疲労の回復に非常に効果的です。パソコンなどの作業から緊張した目を休ませる方法として、ぜひ取り入れて欲しいです。
もし、外に緑のない環境だった場合は、壁に森林の写真を貼ってお部屋の雰囲気を変えて、少し遠くから眺めるだけでも、森林浴効果があると言われているんですよ。
デジタル森林浴
驚くことに、パソコンやタブレットで森の風景(動画、写真)を流すだけでも、ストレス軽減や心理的安心につながる森林浴の効果があるという研究結果もあるんです。
「映像を見るだけでも意味があるの?」
そんな疑問を持たれる方も多いですが、答えは YESです。
- 静かな森の映像。
- 雪の森を歩く動画。
- 木漏れ日の緑が揺れる画面。
最新の研究では、本物の森に行けなくても、高画質な映像や自然音に触れるだけで、脳が『森にいる』と認識し、ストレスホルモンが減少することが分かっています。画面越しでも、人の心はちゃんと自然を受け取っているというから驚きです。
これは現代だからこその “自然とのつながり方” なのかもしれません。一方で、パソコンを長時間使うことが、眼精疲労になるということを考えると、デジタル森林浴はほどほどに、というのが私の個人的な意見です。
【参考文献・参考リンク】
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 デジタル森林浴について
千葉大学大学院 園芸学研究科:緑視率とリラックス効果の研究
④ 「感触」木材に触れて天然素材を感じる
木のスプーン、木の器、木の家具。
木材の手触りはストレス軽減や心拍安定を助ける可能性があるといわれています。
金属でもプラスチックでもなく、「天然の素材」に触れるという体験。
それは“触覚で感じる森林浴”です。
その他、お気に入りの天然石に触るウールのブランケットくるまるなどの「温かみのある自然物」に触れることも、安心感(グラウンディング)が得られます。
植物に直接触れられない冬の間、こうした「自然の欠片」に触れることは、心を穏やかに整える大切な時間になります。

⑤ 「味覚」森の恵みを味わい体に取り込む
森の癒やしは、香りや音だけでなく「味覚」でも楽しむことができます。今の時期、おうちで手軽に試せる森を飲むレシピをご紹介します。
米マツ(ダグラスファー)のフレッシュティー
私の住むオレゴンでもおなじみの米マツ(ダグラスファー)Douglas fir 。
薬用効果もあるこの木の葉を少し摘んでお茶にするだけで、驚くほど爽やかな「森の味」が楽しめます。 洗った松葉(できれば先の柔らかい部分)をちぎってカップに入れ、熱湯を注いで数分待つだけ。立ち上がる湯気からは、まるでグレープフルーツのような柑橘系の香りが漂います。冬の松葉は成分がギュッと凝縮されているので、ひと口ごとに森の生命力が体に染み渡るのを感じられます。
針葉樹の中には、口に入れると有害な木もあるので、確実に見分けてから収穫してください。
おうちでできる「森林浴」まとめ
冬は植物たちが眠りにつき、私たち人間も家の中で過ごす時間が長くなる季節です。
薬草園の仕事がお休みの間、私はこうして五感を使って「小さな森」を家の中に招き入れるよう意識をしています。わざわざ遠くへ行かなくても、一つの香り、一杯のお茶、そして木のぬくもりに触れるだけで、私たちの心はいつでも森と繋がることができるのです。
外が冷え込む夜、あなたも自分だけの「おうち森林浴」で、心と体を優しく整えてみませんか?
それでは、オレゴンから愛を込めて、
Until the next time !
さやリンでした。












