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~大地と空と心の声を聞こう。絵本が開く、新しい世界~
皆さんこんにちは。
オレゴンの片田舎から、【心を育てるガーデナー】のさやリンです。
子どもから、大人まで、自然と絵本の素晴らしさを届けるお手伝いをしています。
皆さんは、「平和」と聞くと何を思い浮かべますか?
きっと多くの人は“戦争がないこと”を思い浮かべるかもしれません。でも本当の平和は、それだけにとどまりません。まわりの人を思いやること、自然と調和して生きること、安心して自分らしく過ごせること――そうした小さな積み重ねも、確かに「平和」につながっています。
子どもにとって身近な絵本には、そんな“平和のヒント”がたくさんつまっています。
今回は、読みながら心が育ち、平和について考えるきっかけをくれる8冊をご紹介します。

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平和とは?を考え、想像させてくれる絵本
へいわってどんなこと?
日本の絵本作家、浜田桂子さんが、中国・韓国の絵本作家と協力して制作した絵本シリーズの第一弾
この絵本を読みながら「平和」ってどんなこと?という問いが頭をめぐります。
作家の浜田桂子さんは、生まれてきた命が大事にされ、差別されたり、しいたげられたりしない事、という思いを込めて絵本を作られたとメッセージの中でおっしゃっています。
絵本『へいわって どんなこと?』に描かれているように、戦争がなく穏やかで安定した状態であること、また、美味しいご飯が食べられたり、勉強がみんなと一緒にできたり。そういった日常生活の中で当たり前のように享受される安心や安全、そして個人の自由な表現や行動が保障されていることが「平和」であることに気づかされます。
作、絵: 浜田 桂子
出版社: 童心社
発売日:2011年4月1日
へいわってすてきだね
2013年、沖縄の「児童・生徒の平和メッセージ」に寄せられた詩が基に作られた絵本
この絵本誕生のきっかけは、2013年、沖縄の「児童・生徒の平和メッセージ」に寄せられた詩の中から、最優秀賞を受賞した、与那国島の当時小学1年生の安里 有生(あさとゆうき)君が書いた詩に、長谷川義史さんが絵をつけた絵本です。実際にこの詩は、沖縄平和記念公園での「沖縄全戦没者追悼式」で朗読され、その場にいた人たちの多くが涙しました。
純粋で、素直で、力強い、まっすぐな願いの誓いの詩を、いまの日本に、そして世界の人々に、一人でも多く伝えたい
という思いを胸に、画家の長谷川義史さんは、有生君に会いに、与那国島を訪れました。
この詩のとおり、長命草がたくさんはえ、与那国馬がヒヒーンとなく、青く美しい、光まばゆい、風吹く、そして、のんびりとした、おだやかなところでした。
「このへいわがずっとつづいてほしい」という安里くんの想い願いをそのまま感じました。
~長谷川義史さんのあとがきより~
子どもならではの純粋でまっすぐな言葉が、平和の尊さを改めて感じさせてくれて、そして沖縄の鮮やかな自然と平和の温かさが色彩豊かに表現されている絵本から、大人が子どもたちの平和な未来を守っていく責任を再認識させられる、そんな力を持つ絵本です。
詩: 安里 有生
画: 長谷川 義史
出版社: ブロンズ新社
発売日:2014年6月17日
第7回MOE絵本屋さん大賞第1位。
第35回沖縄タイムス出版文化賞 児童部門賞
平和への願いを感じる絵本
IMAGINE(想像)
不朽の名曲IMAGINEが絵本としてよみがえる

IMAGINE -想像 (日本語版)
ジョン・レノン 詩
ジャン・ジュリアン 絵
ヨーコ・オノ・レノン 序文
岩波夏海 訳
出版社:岩崎書店
発行日: 2017年11月9日
ジョン・レノンの「イマジン」の歌詞を、ヨーコ・オノ・レノン氏が協力し、序文を担当され、アムネスティ・インターナショナル共同企画によって刊行された絵本です。オリジナルは英語版で出版されたものを、岩崎書店出版から日本語訳で刊行されています。(日本語版には、巻末に英語の原詩が満載されています。)
ヨーコ・オノ・レノンは、故ジョン・レノンの歌詞が絵本になることにとても喜びを感じ、絵本の中の様々な姿の鳥たちを鳩が受け入れるように、私たちも人種、国籍、しゃべる言語に関係なく扱われるべきだと冒頭のメッセージに書かれています。
Imagine. Together we can make peace happen. Then the world truly will live as one.
~by Yoko Ono Lennon~
あらすじは、1羽の鳩が平和の象徴として現れ、色々な場面でIMAGINEの歌詞を語ります。多くのレビューにもあるように、この絵本を読みながら、IMAGINEのポップなメロディーが頭に浮かびました。きっとこの絵本を読んだ後は、あの有名なジョンとヨーコ・オノ・レノンのIMAGINEの動画を見たくなるでしょう。
Imagine – John Lennon & The Plastic Ono Band
IMAGINE -想像 (英語版)
by John Lennon (Author), Jean Jullien (Illustrator)
出版社:Clarion Books
発行日:September 21, 2017
ふしぎな月
不思議な月が映しだす世界観から平和を願いたくなる絵本
この絵本は、まあるいお月様が海に、町にのぼる時、様々な不思議な景色を照らしだします。木や草の陰にかくれた虫たちがいっせいに羽ばたいて飛び立って、妖精となって踊ったり。夜、野原の花が咲き、魚は空にのぼり、あかちゃんも目を覚まします。遠く、サバンナや、がれきの戦場までもとどきます。どんな場所にも、どんな空間にも、へだてなく光を投げかける、月。
月は、この世の喜びも、悲しみも眺めています。そして、世のすべてを照らして、やみにしずまぬように、やみにのまれぬように、祈ります。
満月の日に、夜空を見上げて世界の平和を祈りたくなる絵本です。
文: 富安 陽子
絵: 吉田 尚令
出版社: 理論社
発行日:2021年8月18日
身近な日常から平和を考える絵本
ぼくがラーメンたべてるとき
同じ時間の中にいるこどもたちは、今、なにをしているのだろう?
長谷川義史さんが描くこの絵本は、短文ではあるけれど、伝えたいメッセージがストレートに心に届きます。私たちの日常は、ラーメンを食べていたり、猫があくびをしたり。それが当たり前の風景です。でも同じ時間に地球の裏側では何が起こっているのでしょうか? おやつを食べてるとき、世界の子はなにしてる? 遊んでいる?働いている?それとも倒れている?…
現実に、恵まれない国では子供たちが大人同様、学校へも行けずに働いています。また戦争は今も続いていて、かけがえのない命が奪われています。
あらためて、安心して日常を過ごせること。当たり前に過ごしている時間が実はどんなに幸せなことか、この絵本から思い知らされます。
作・絵: 長谷川 義史
出版社: 教育画劇
発行日:2007年8月1日
2008年 読書感想文・課題図書平和を考える絵本 日本絵本賞受賞作品
けんぶち絵本の里びばからす賞受賞作品 読み聞かせおすすめ絵本(小学校高学年向け)
すきなものがちがうけど
みとめあう心を育てれば、平和が生まれる希望あふれる絵本
この物語は、幼い男の子と女の子が、ロケットやきしゃ、あついひ、さむいひなど、それぞれが好きなものを教え合います。でも、お互いの違いに気づきながらも、相手を受け入れ、仲良くなれるという希望を感じさせる内容です。
私たちの日常でも、子供も大人も、それぞれ個性があり、好みも違いますよね。この絵本のように、自分の好きなものと他人の好きなものが違っても、お互いを理解し受け入れることができるのであれば、けんかも争いも起こらないはずです。みとめあう心があることこそ、平和が生まれます。
リンダ・アシュマンさん原作の絵本のタイトルは、I LIKE THIS YOU LIKE THAT です。英語が苦手な人にも、分かりやすい短くて端的なフレーズなので、英語版で読んでみるのもおすすめです。
作: リンダ・アシュマン
絵: イヴ・コイ
訳: 福本 友美子
出版社: ほるぷ出版
発行日:2022年11月10日
平和について、実話から学べる絵本
シュモーおじさん MR.SCHMOE CAME TO HIROSHIMA
広島復興の為に仲間と立ち上がったアメリカ人の心温まる実話絵本

シュモーおじさん MR.SCHMOE CAME TO HIROSHIMA
著者 戸川幸一郎
発行者 シュモーに学ぶ会
発行日 2019年8月4日
価格 本体価格1,300円
販売先 広島平和記念資料館ミュージアムショップ
この物語は、アメリカ人の植物学者だったフロイド・シュモーという実在人物についての絵本です。
「平和は言う事でなく、行うこと」 これは、シュモーさんの言葉です。
1949年、広島・長崎への原爆投下に心を痛めたシュモーさんは、アメリカで支援金を募り、仲間と共に原爆で住宅を失った人々のために「広島の家」建設を行いました。
国籍や人種、言葉や宗教も違う人たちが集まり、1949年から5年間で21戸の家を建て、ほとんどを広島市に寄贈しました。
おうちをたてればみんながあつまる。みんながあつまればなんだか安心できる
一人でできない事もきっとできる。夢だってかなえられる
~絵本シュモーおじさんより~
絵本を手がけたのは、広島の絵画造形家・戸川幸一郎さん。そして、絵本は、
これから広く世界に羽ばたいていく子どもたちに、仲間とともに平和を築くことの大切さを伝えたい
という思いで、広島市の市民団体「シュモーに学ぶ会」により発行されました。
“みんなで力を合わせれば、未来に希望が見つかる”
その想いが優しい絵からもあふれています。
私が覚えている戦争の話は、いつも怖くて、悲しいものでした。
でもこの絵本は、「戦争の怖さではなく、未来を信じること」教えてくれる絵本です’。
シュモーおじさんの実話と共に、この絵本が次世代に語りつがれていきますように。
平和の種が見つかる絵本(書籍)
「平和」への想像力を培うヒントになる55冊の絵本を、ベテラン司書が紹介する書籍
これは、絵本ではないですが、「平和」について考える絵本が55冊紹介されています。しかも、単なる「暴力」や「戦争」のない状態にとどまらず、「積極的平和」への想像力を培うヒントになる絵本の数々をベテラン司書が紹介しています。選書もそれぞれ、
- 「平和」ってなんだろう
- 「戦争」がもたらすもの
- 人間の「尊厳」とは
- 「格差」「差別」に向き合う
- 「地球」とともに生きる
- 「作家」の想い
と、カテゴリー別に紹介されていて、一冊一冊の絵本の解説も、内容だけに限らず、その本が生まれた背景や、作品に込められた作家たちの重い、子供たちの反応を織りませながら紹介されていて、著者の平和絵本のリサーチがとても丁寧にされていて、さすが、ベテラン司書の選書だと思いました。
「平和」の絵本選書に迷ったら、この書を手に取ってみてください。
まとめ
私たちが平和のためにできることは、決して特別なことではありません。
誰かを思いやる言葉をかけること。
違いを認め合い、対話を続けること。
歴史を語り継ぎ、未来の世代につなげること。
そういったメッセージをどうか、絵本から受け取ってください。
ジョン・レノンの IMAGINE のように、国境も、争いもなく、人々がひとつにつながって生きる世界を想像すること。
その“想像する力”こそが、平和をつくり出す第一歩なのかもしれません。

EQ力の高める絵本についてもっと知りたい、子供だけでなく、自分の自己肯定感も絵本を通して高めていきたい!という方は、絵本未来創造機構の『心が育つIQ絵本講座』をお勧めします。体験講座からあるので、お気軽にお声かけくださいね。
それでは、オレゴンから愛を込めて、
Until the next time !
さやリンでした。